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神楽に魅 せられて 

ミュンヘンで出会った神楽団に

惚れた私の神楽体験 記


インデックス

◆1:
神楽との出会い

◆2:ミュンヘンの虹

◆3 :どちらのご出身?


◆4:私の自然崇拝思想

◆5:豹変する神楽団


◆6:2005年6月のドイツ公演

◆7:お囃子デビュー
 

◆8:パリの島根県人会公演


◆9:神々しい「神主神楽」
 

◆10:石見と出雲と神主神楽


◆11:神楽に魅せられて




ご意見、ご感想 を
お寄せ下さい。




第3話 どちらのご出身?
レストラン神楽




1月19日(土)
6時〜10時
20 ユーロで食べ放題!
(飲み物、デザートは別)

ドイツ人と日本人の交流の夜!
ジャズの生演奏、カラオケなど
楽しい企画が盛りだくさん!


 

大漁マグロ祭り



トルコから畜養ホンマグロが
大漁に入荷しました!
市場を通さず直輸入なので、
格安です!



 
滝つぼ神楽解説 
No.3-1.
舞が身体に染みる?

ドイツ公演では最も迫力があっ て有名である演目「大蛇退治」と「国譲り」を披露する事 になるの ですが、実際、神楽には他にも沢山の演目があります。どこかに招待されて神楽を披露する時は、有名な演目を披露する事が多くなりますが、「出雲大社の例大 祭」のように3日3晩ずっと神楽を演じる長丁場の場合などは、滅多にやらない演目も披露されるようになります。

神楽団は「神楽暦40年以上」というベテラン・メンバーも多いため、舞台に出る直前に配役が決まると誰もがぶっつけ本番で踊り出します。難しい踊りと長い 台詞を見事にこなして楽屋に戻り、「あ〜、そう言えばこの役は20年ぶりだったなあ〜」と言ってため息をつく人もしばしば。20年間一度も踊った事がない 役を突然やらされて、「ちゃんと覚えてるかなあ?」と不安なまま舞台に出ても、見事に役をこなしてしまいます。つまり彼らの場合、「記憶」は定かではなく とも「身体」が覚えているのです。

「所詮、俺達よそ者は、何度も何度も練習して練習して練習しても、子供の頃からやってた人達には敵わない」と、大人になってから出雲に来て神楽団に入団し た人が漏らしていました。「あの人達は、舞が身体に染みているから」と。

じっと舞台を見つめていると、確かに「舞が身体に染みている人」は舞台で何も考えておらず、無心のまま流れに身体を任せてしまっています。「染みていない 人」は頭を使って次の動作を考えているので、動作にどこか「ぎこちなさ」が残るようです。

「舞が身体に染みる」までには、何年もの歳月がかかる神楽です。「舞が身体に染みた団員が現役で見事な舞を披露できるうちに、一人でも多くの後継者に育っ てもらえますように」という願いを込めて、神楽の活動をしている私なのでした。



 
No.3-2. 神楽が消える日

つい先日、2004年のドイツ 公演に参加したメンバーの一人である笠間さんが、まだ60代前半の若さで亡くなったと知らされました。彼は私が個人的に親しかった団員ではなかったのです が、ほんの数年前、元気に大太鼓を叩いておられた姿を思い出し、「人間は永遠には生きる事はできないのだ」という事を改めて痛感させられました。

デュッセルドルフの公演 の際、ダイナミックな舞台を疲労した後、お面を取ってずらっと並んだ神楽団達を見て、私が「後継者不足が深刻だ」と言っていた意味を悟ってくれた観客の方 々も多かった事だろうと思います。神楽団のメン バー達は人一倍元気な人達ばかりなので、ついつい錯覚を起こしてしまうのですが、70代、80代のおじいちゃま達を筆頭に、60代がリーダー核、50代後 半が中堅、50代前半は下っ端、そして40代の私は「若いお姉ちゃん」になってしまうのです。「あら、私が若いお姉ちゃん?!」などとニコニコしている場 合ではありません! これは深刻な問題です。

絶滅に瀕しているパンダを救えとか、マグロの漁獲禁止条例だとか、動物や魚を保護するのも大事でしょうが、絶滅の危機に瀕している神楽の事は、一体誰が 守ってくれるんでしょうか!と、私は声を大にして言いたいのです。徴兵制度を導入してでも、神楽を中学の必修科目にしてでも、次の世に
神楽を受け次ぐ義務が私達にはあるのだという事を少しでも多くの人に気がついて欲 しくて、ドイツ公演を何度もやってきた私です。

昔は島根には
地域ごとに神楽団が存在し、数多くの神楽団があったのだそうです。それが一つ、また一つ、ゆっくりと、 しかし確実に消えていきました。メンバーが揃わないと舞う事ができなくなる神楽です。メンバーの数が少しずつ減り、遂には神楽団として成り立たなくなって 消滅する。ひとつづつ、ゆっくりと、しかし確実にその数は減少しています。

本来であれば中核になっているべき40代、つまり私の世代の団員が特に欠落しています。思い返せば私が子供の頃は高度経済成長の真っ只中で、日本の目が海 外に向いており、「日本古来のものなんてダサイ」という考え方が主流でした。時代の「流行」というものは政府やマスコミによって操作して作られるもので す。「海外、海外」と踊らされた私たちはきちんとした日本人になる事よりもむしろ「国際人になる事」を奨励されたものでした。

そして海外に出て初めて私は「自分が日本人である事」を自覚し、自分が日本の事を何も知らなかったのだという事に気づいて自らを恥じ、何よりも先にちゃん とした日本人になる事が、国際人になるための第一歩である事を身を持って体験し、あの流行が間違っていた事を痛感しました。あの時の過ちの報いを私たちは
今、償うべきなのです。

日本文化の原点である神楽が消える事は私たち日本人全員にとって、深刻な問題でなければいけない。「大東町や、雲南市、島根県じゃないから私には関係な い!」と、知らん顔をしている場合ではありません。

パンダちゃんよりも、マグロよりも、アマゾンの森林よりも、神楽の方が先に絶滅するかもしれない事をあなたはご存知でしたでしょうか。「誰か他の人が考え ればいい事」としてではなく、自分の身近な問題として、神楽の事を考えて欲しい。そんな願いを込めて神楽の活動を続けている私です。
筆:滝つぼ 2008年1 月

Language : Japanese, English, Deutsch, Españo

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